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Around The World In A Day / アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ

Around The World In A Day / アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ

プリンスと極彩色の世界にトリップ

 

  1. Around The World In A Day
    父親との共作。イントロの叫びが印象的ですね。プリンスの曲はイントロで腰砕けの声が沢山収録されていますが、これはベスト5に入るインパクトです。エキゾチックで不思議な雰囲気で、どこか違う世界に連れていかれそうになります。アルバムジャケットで予感を漂わせて、一曲目でガツンと前作のイメージを完全に覆してしまうのが凄いです。ちなみに当時、このアルバムは"Purple Rain"と同時に作ったと喧伝されていました(実際は"Purple Rain"の録音が完了した後にレコーディングされたそうですが)。

  2. Paisley Park
    こちらも一曲目同様、サイケデリックというか、不思議な肌ざわりを持つ曲す。しかしメロディラインは王道なんですよね。後に自らのスタジオ名やレーベル名に使われたことから、この造語への思い入れのほどが伺い知れます。皆の心にあるというペイズリー・パーク。タイトル曲同様、暗喩に満ちている曲です。

  3. Condition Of The Heart
    イントロからの入りが若干仰々しいですが、曲自体は非常に美しいです。このアルバムは全体でまとまった作品である要素が強いので難しいですが、強いてハイライトを挙げろと言われれば個人的にはこの曲が候補の一つになると思います。ファルセットバラードの1、2を争う曲ですね。精神性の高い、感動的な名曲です。

  4. Raspberry Beret
    なんとも可愛い地声で歌う殿下が新鮮。殿下版「みんなの歌」といった感じでしょうか。明るくてポップな曲です。MVもキュートなんですが、青ひげと衣装、振り付けが強烈。狙ってやってるのか、単純に好きなのか…。とにかくプリティという表現に尽きます。でも、この曲があるから、殿下の評価が揺るぎないものになったのかもしれません(多様性という面において)。実はこの曲、"USA for Africa"に提供を申し出たらしいですが、収録は実現しませんでした。確かに、性的な曲でもあるので、あのアルバムには似つかわしくないですよね。

  5. Tamborine
    トイレに行きたいのを我慢してるような性急なリズム。それに乗っかるのは、温度差のあるクールなボーカル。時々感極まって狂ってるようなファルセット。嬉しくて仕方なくて、1人でジタバタしてる時のイメージでしょうか。相変わらず後半は熱暴走してます。
    あ、これ全部褒めております。この曲の持つアバンギャルドさを文章で表現しようとすると、こうなりました。個人的にとても好きな曲です。

  6. America
    突然のスクラッチ音で始まる、非常にノリの良いアップテンポの曲で耳馴染みのよいキャッチーなフレーズが耳に残ります。表面的にはアメリカ礼賛っぽくて白けるかと思いきや、プリンス風のアイロニーが炸裂したメッセージ性の高い曲です。「PEACE!」などの掛け合いは最高なので、プリパでは押さえておきましょう。アルバム・バージョンはフェイド・アウトで終わりますが、こちらの12'はとんでもない長さで有名です。

  7. Pop Life
    ジュディマリのユキさんがプリンスの大ファンで、この曲を自バンドのアルバムタイトルに引用していましたね。このアルバムに共通するところですが、メロディラインはポップなのに、あえてストレートな作りではなく違和感があるような不思議なアレンジが効果的です。「ポップに生きなきゃ人生ファンキーにならないよ、分かった?」と歌われますが、これはストレートな意味なのか、華やかな世界に憧れる人への皮肉なのか、解釈が分かれるところです。

  8. The Ladder
    実父との共作。中々ドラマチックです。ジャケットの中央にも書かれている通り、このアルバムのキー・コンセプトの一つなんでしょう。皆が探している「梯子」を見つける。つくづくこのアルバムはプリンスのキャリアの中でもコンセプト・アルバムの趣が強いなと感じますね。耳に残るメロディが印象的で、ライブで弾き語ってくれるようなシンプルな演奏だと「え?こんな良い曲だっけ?」となる人が多い気がします。

  9. Temptation
    曲の最後では、プリンス自身の悔悟が披露されます。前曲と同じく、ドラマチックな作り。「やりすぎ」はプリンスの良いところなんですが、人によっては胃もたれするかもしれませんね。ライブでも自己悦に浸り過ぎるところがあり、ファンは嬉しいのですが、そこまでじゃない人には厳しいのかも。後半のプリンスの1人芝居は嫌いじゃありません。最後は旅に出るという、コンセプト・アルバムとしての完璧な締めとなっております。

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