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3121

3121

何度目かの黄金期と呼べる傑作

 

  1. 3121
    この音を聴いた瞬間、多くのプリンスマニアは興奮したことと思います。ベースが強調されたネットリ・トラックにカミールっぽい声が乗り、ファンキーなシンセが絡む。これはまさしく、変態ファンク!もう聴けないと思っていた、「プリンス全盛期の音」がここにあります。しかも、単なる昔の録音の蔵出しではなく、タイトルから察するに新曲(または作り直し)と思われます。強烈なタイトル曲です。"Prince is back!"なんて陳腐な言い回しは決して使いたくないですけど、思わず口にしちゃいそうなぐらい嬉しいのです。
    今作において、個人的には"The Rainbow Children"の一曲目に匹敵するファースト・インパクトでした。ナイス・タイトル曲!

  2. Lolita
    久々に際どいタイトルに期待は高まります。やけに明るい曲調は、シンセの音色とも相俟って、どこか懐かしい雰囲気。そう、これまた「あの時代のプリンス」が作りそうな曲なのです。曲間に挿入されたコール&レスポンスは、もうそのまんまです。ここまで、あからさまなのはどうかとも思いますが、この気持ち良さには抗えません。「体で聴く」という感覚を久々に味わいました。ところで、これってアウトテイクで存在した曲なんでしょうかね?新曲だとしたら、痒いところを掻いてくれたプリンスに感謝です。
    しかし、この出だしの2連発は強力です。苦節10云年…のマニアなプリンスファンは垂涎ではないでしょうか?これで文句言う人は、プリンスの新曲を一切聴かない方がいいですね。

  3. Te Amo Corazon
    早くからお披露目されていた1stシングル。しっとりと落ち着いた、ラテン風味のバラード。よりによって、こんなアダルトな曲を一発目にリリースしたプリンス。皆を驚かせようとした魂胆が見え隠れして、お茶目です。あまりにも凡百のバラードっぽいということで、一部では非常に評価が悪かった曲ですが、私は大好きです。アルバムの流れの中で聴くと、より一層箸休め的な感じで良いです。逆に、1,2曲目のような狙い目の曲ばかりで構成されているのはプリンスらしくないと思うのですよ。

  4. Black Sweat
    私を悶え死にさせる気でしょうか?レビューを書くというのに、この曲は言葉を失わせてくれます。解説とか読んでる場合じゃないです。自分で聴いて踊ってください。既にシングルとして発表済みのハイテンションのエレクトリック・ファンクですが、アルバムの流れで聴くと感動もひとしお。特に前曲とのギャップが良い効果を生み出しています。文句は何もありません。とにかく格好良いです。これまた全盛期のプリンスが得意とした、最小限の音のファンクネス。ファンキー、エレクトリック、ミニマル、エロティック、、、色んな形容が思い浮かんでは消え、言葉の意味は希薄になっていきます。

  5. Incense And Candles
    イントロを聴いた瞬間に、凄まじい違和感に襲われました。(次の瞬間、それは何ともいえない心地よさに変わりましたが。)何が違うのかというと、まるでR&Bチャートで流れているような音なのです。それも文句無しに上位で流れているクォリティに匹敵します。時代の鼻先を捉えて、そこに音楽を放り込んだ、そんなイメージを受けました。一緒にボーカルをとっているティマーとの相性もバッチリで、非常にお洒落なナンバーになっております。(お香とキャンドルっていうタイトルもお洒落極まりない。)また、この曲を聴くと、プリンスが自分の声を良く生かしていると思います。ボコーダーか何かを通して、声を変えているところが特にセクシー。

  6. Love
    リズムとシンセの変態的な交わり。そこに淡々と乗っていくプリンスのボーカルと、ティマーのバック。かなり気持ち良い、中毒的なポテンシャルを持った曲です。アルバムを最初から聴いていると、この辺で感極まって「グフフ」とか独り言を漏らしてしまいます。ここでもティマーがバックを務めています。レボリューションの頃を彷彿とさせる化学反応ですね。終盤のフックでは、レトロ・フューチャーな音をファンキーに料理していて、とても格好良いです。

  7. Satisfied
    王道の香り漂う、ソウルフルなバラードです。例えて言うなら"Slow Love "あたりのベタさでしょうか?(この曲はファルセットで歌ってますが。)まるで、誰か別のアーティストの曲をカバーしているような。プリンスのファルセット・バラードですから、悪いわけはないんですが、あまりの王道さに面食らうかもしれません。しかしエロい曲です。宗教的にはオッケーだったのかな?
    とか言ってるうちに、あっという間に終わります。短い。

  8. Fury
    これ以上ベタなリフは無い、そう思えるほどのベタなシンセ・リフに乗り、若干抑制されたプリンスのボーカルが流れます。典型的なロック・ナンバーなんですが、すごく控えめに作っている印象を受けます。SNLでのライブ演奏を聴いたときは、かなり良い感じだったのですが、スタジオ版は大人しく聴こえますね。もう少し音数を増やしてもいいと思うんですけどね。この辺、「スタジオ版は地味だけどライブ映えする曲」に認定でしょうか。しかし、よくここまでベタな曲を作ったものです(笑)

  9. The Word
    プリンスとしては、異色の作風。ロック/フォーク畑のシンガーが歌っても違和感の無い、淡々としたメッセージ・ソング。これが非常に格好良いのです。弾き語りがベースなんですが、ホーンとギターを上手い具合に絡めて盛り上げてくれます。"Getup. Come on, let's do something."というくだりは個人的にツボのど真ん中。新たなプリンスのアンセムとして文句無い曲です。
    最後の終わり方は格好よすぎて、思わずチビりました(7cc)。因みに、ヘッドフォンでこの曲を聴きながら街を颯爽と歩けば、映画かドラマの主人公気分を味わえます。ぜひやってみましょう。

  10. Beautiful, Loved And Blessed
    メインボーカルはプリンスのお気に入りっ子ティマー。今作では全面的にバック・ボーカルを務めているようですが、これは彼女が主役。ティマーのアルバムにも同じ曲が収録されるそうです。このパターンって、かなり異色ですよね?今までのプリンスなら、後からセルフ・カバーすることはあっても、同時に収録ということはなかったような気がします。(しかも自分のアルバムのほうを先にリリース…)その辺、少し戦略的な香りがしますが、さしずめ大成功といったところでしょうか。非常に洗練されたコンテンポラリーなR&Bバラードに仕上がっています。歌詞も素敵で、プリンスの優しさが出ています。ティマーのことを可愛がっているんでしょうねぇ。文句無しに名曲です。R&Bの歴史に残るバラードの1つに加わったのではないでしょうか。プリンスのアクは殆どありませんが、後半でちゃっかりプリンスが前に出ています。

  11. The Dance
    NPGMC配信の"Chocolate Invasion"に収録されていた曲(若干手が加えられているそうです)が、再びお目見えです。実は、この曲未聴だったので今作が初体験。タイトルから想像していたものとは全然異なっていたので面白かったです。非常に内省的なナンバー。多少大仰な雰囲気がありますが、暗く悲しい感じが良いです。ピアノとハンドクラップがやけに印象的ですね。後半のシャウトで再び失禁。

  12. Get On The Boat
    「ア゛ッ!」とシャウトしたかと思えば、スカばりに出だしからホーンがブンブン鳴ってます。これは格好良い!歌詞の内容は、ノアの箱舟っぽい感じでしょうか。「あと100人は乗れる」っていうメッセージと、この曲の持つ性急&ポジティブなイメージがピッタリです。極めて宗教的な曲なのに、それを感じさせないサバサバ感が気持ちいいですね。全曲がラストとすれば、この曲はアンコールでのジャムといった印象。早くライブで聴きたいものです。
    ボートに乗り込んだ我々とプリンスは、新しい陸地を目指して出航するのでした。次回作、もしくは"3121"で会いましょう…。

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